甲状腺日記

甲状腺がんの記録

標準治療という名の最善治療

当事者でない限り「がん」は他人事だ。私は血縁関係者にがんを発症した人がいなかったから、自分には無関係だと頭から思っていた。医師は、がん家系でなくてもがんになるし、誰でも毎日いくつものがん細胞ができているんだよ、とおっしゃった。

 

がんに関する知識がなくて、ついつい検索してしまう日々。でもある個人ブログを読んでてうっかりグロい画像をふんでしまってから、なるべく書籍から情報を得るようにしようと思った。編集を介している方がある程度質を担保しているだろう。何冊か斜め読みしているだけだが、どの本にもでてくるることはおそらく信じて良いことだろう。

 

ネットだと「切らずに治す」などの先進治療も見つけてしまう。「タチのいい甲状腺がん」であれば切らなくてもいいんじゃないか、韓国でも実際に過剰医療っぽい結果がでているじゃないか、今は痛くもかゆくもないし、コリコリしているのもわからないのに臓器をきりとられるなんてな…。クビに傷跡も残ってしまう。切らずに治せるものなら、と思う人の気持ちがようやくわかる。

 

今まで診察していただいた医師たちには「標準治療では摘出が最善で再発もかなり少ない」「リンパや肺に転移したら大変」「乳頭がんでも未分化がんにかわる可能性」を指摘された。「切らない治療」は数ミリの微小がんに対してだけだとのことだった。

 

標準治療は「世界中どこの先進国であっても通用する推奨レベルの最も高い」治療だ。先進治療がのちのち標準治療になる可能性はあるが、今のところは実験段階でさらに治療費は実費。

 

甲状腺がんは他のがんにくらべれば生存率は高いけれど、それでも4〜5%くらいの方が術後10年内に死亡している。

切るのは嫌だけど治らないのはもっと嫌だ。